作業再会。何度か失敗もしたが、それなりにうまくいっている。それに、どういうわけか所長の機嫌がいい。今日は終始、笑顔を絶やさなかった。ときどき、鼻歌が聞こえもした。なにか良いことでもあったのだろうか。この前は、所長の娘にたいして愚痴をこぼしていたのに。分からない(直接聞くなんてもってのほか)。でも、原因がなんであれ、所長の機嫌が良いのは喜ばしいことだ。作業もスムーズに進む。明日からも、ずっと今日のように、所長の機嫌が良ければいいのに。
そうだ。そうすれば給料だって上がるかもしれない。もう何年も同じ額しかもらっていない。なんとか暮らせるだけ感謝しなければいけないのだけれど、友人が自分の三倍近くももらっていることを考えれば、もう少し自分だって上がってもいいのではないか。靴だって一足しかないし、その靴ももうぼろぼろで、歩くのがやっと。なにも履かない方がましかもしれない。せめてもう一足靴を買いたいところだ。靴を買うためにいままで貯金していたのだが、先日の試験を受けるためにすべて使ってしまった…。