なにか大きなかたまりが、よく見たら少しずつ動いている。いや、たんに目の錯覚のようなもので、本当はぜんぜん動いていないのかもしれない。動いているのか、動いていないのか、どちらなのだろう。とにかく、どちらにしろそれは大きなかたまりだから、風などでは動くはずはなく、もし動いていたとすると、それはかたまり自身が動こうという意志を持って動いているはずだ。なぜなら普通かたまりは動きたいなんて思わないからで、思うとしたらそれは普通ではないかたまりということになるだろう。
私は、このほんの少しだけ動くかたまりを見世物にして、お金を儲けようと考えた。きっとたくさんの人たちが、このかたまりを見るために集まってくるだろう。私はさっそく準備にとりかかった。