私はあなたと食事をした。あなたはおいしそうに食べた。私はそれをじっと見ていた。あなたはゆっくりと食べていた。そしてきれいに残さず食べた。あなたはなにか言おうとしたけどやめた。私はしばらく待ってみた。しかしなにも起こらなかった。私は紅茶だけを頼んでいた。しかし一口も口をつけていなかった。あなたは私のことをまったく見ていなかった。私は退屈していない。私はなにか考えているわけでもない。あなたはウェイターに皿を下げさせた。私はちらっと紅茶を見た。もうすっかり冷めていることだろう。あなたはぼんやりしていた。私はそれを見ていた。なんとなく壊れる予感がした。しかしなにが壊れるのか分からない。なぜそんなことを思ったのかも分からない。あなたは髪の毛をさりげなく触った。私はそれを見ていた。あなたは視線を少し下げた。私はそれを見ていた。私はあなたを見ていた。あなたはなにも見ていなかった。あなたはなにも考えていなかった。私は紅茶をわざと倒した。紅茶がこぼれた。すぐにウェイターが飛んできた。紅茶はテーブルから床にぽとぽとと落ちている。ウェイターはすぐに拭いた。私はそれを見ていた。あなたもそれを見ていた。でもなにも見ていなかった。あなたはまたさりげなく髪の毛を触った。私は立ち上がった。あなたも立ち上がった。あなたはうつろな表情をしていた。私は歩きだした。あなたは後ろからついてきた。私は店を出た。あなたも店を出た。私は歩いた。あなたも歩いた。私は後ろを振り返った。あなたは歩いていた。あなたはなにも考えていなかった。私も同じだった。私はただ歩いていた。あなたもただ歩いていた。私はいきなり立ち止まった。あなたもそれに合わせて立ち止まった。私はいきなりあなたの手を取った。強く握りしめた。あなたはまったく抵抗しなかった。私はしばらくそうしていた。あなたはただじっとしていた。なにかが起こるのを待っていた。しかしなにも起こらなかった。私はあなたを見た。あなたはじっとしていた。あなたは驚いていなかった。ただなにかを待っていた。私は手を離した。それからまたすぐに握りしめた。それを何回か繰り返した。あなたは抵抗せず、されるがままだった。私はその行為をやめた。それからじっとあなたを見ていた。私はあなたの目を見た。鼻を見た。口を見た。それから耳を見た。あなたはなにも見ていなかった。私はまた歩きだした。あなたも歩きだした。私はなにも考えていなかった。あなたもなにも考えていなかった。私とあなたはなにも考えていなかった。私はしばらく歩き続けた。私は歩くのに飽きると、さっきの行為を繰り返した。あなたの手を握ったり離したりを繰り返した。それが終わるとまた歩きだした。あなたはなにも考えていなかった。私もなにも考えていなかった。しばらくして家に着いた。家にはだれもいなかった。ただ椅子しかなかった。それもひとつきりだった。私はあなたに椅子をゆずった。あなたはなにも考えずに椅子に座った。私はそれを見ていた。あなたは椅子に座っていた。あなたはなにも考えていなかった。私は椅子の背に手を置いた。私はあなたの背中に手を置いた。私はあなたの頭の上に手を置いた。それから手を離した。それを何度か繰り返した。あなたはただじっとしていた。私はあなたの鼻を触った。私はあなたの鼻を撫でた。それから手を離した。しばらくなにもしなかった。あなたは突然、足を上げた。下ろした。上げた。下ろした。上げた。下ろした。私はそれを見ていた。あなたはその後目をつぶってなにもしなかった。私もなにもしなかった。ただ時間だけが過ぎていった。あなたは眠っているのかもしれなかった。でも眠っていなかった。ただ目をつぶっているだけだった。私はあなたの座っている上に座ろうとした。あなたは抵抗しなかった。あなたは私の体重を感じた。しかしなにも考えてはいなかった。私はただじっとそうしていた。あなたはただじっと耐えていた。私は足を上げた。下げた。上げた。下げた。私が足を上げるたびに、あなたは私の全体重を支えなければいけなかった。あなたは支えた。私はあなたに支えてもらった。私は足を上げた。下げた。上げた。下げた。あなたは私を支えた。あなたは私を支えた。あなたは私を支えた。私はあなたに支えられた。あなたはなにも考えなかった。あなたはなにも見ていなかった。