静かに木曜日の雨がふっている。規則的にさえずる鳥の声(変わった鳴き方)が聞こえる。湿った道路を蹴とばす、だれか女性の足音。遠くから聞こえる、不快な工事の機械音。
夕方には雨はやんでいる。あの鳥の鳴き声は消え、かわりに違う鳥(おそらく、真っ黒の、鋭い目をした大型の鳥)がさかんに鳴いている。昼には目立たなかった鉄道の音がはっきりと聞こえる。それから、帰宅にむかう学生や主婦が乗った、自転車の車輪の音も。
低くうなるような飛行機の音。だれかの話し声。トラックが道路を摩擦する音。しばらくして、黒い鳥の声も勢いを失ったようだ。みなどこかに飛んでいったのか。