なつかしい場所をいくつか訪ねた。
かつてよく通っていたなつかしい場所を何年かぶりに訪れてわき上がる感情は、なつかしいという言葉の響きから覚えるなんとなくやわらかい感情ではなくて、はっきりとした強い衝撃。また視覚的なものはある程度予想してそれに向かうのだけれど、匂いというのは予想していないというのもあって、ふいに出会うと記憶に突き刺さって膝から崩れるような強い衝撃があった。
そうしてまた時間が流れるだろう。ほとんどのものは水の底に沈んでしまって浮きあがることはないけれど、けしてそれは消えたわけではない。