東京都現代美術館で開催している、大竹伸朗の回顧展「全景 1955-2006」を見に行く。小学生のころに描いた絵から現在の作品まで、相当に膨大な数の作品があって、まずその量の多さに吹き出してしまう。新しい部屋へ入るたびに、わっと作品の群れが目に飛び込んでくる。自分も何冊かつくったコラージュのスクラップブックを、大竹伸朗はすでに64冊もつくっていて、中身は一冊につき1ページしか見れないのだけれど(全部見たい)、それでも十分おもしろいし、表紙もいろいろ趣向を凝らしていて目を見張る。ほかにもさまざまなサイズの、さまざまな種類の作品があって、最後にはやや食傷ぎみになりながら見終わった。しかしそういうふうに、作品をつくる熱量には驚くけれども、またいくつかの作品(「ゴミ男」やスクラップブック)は掛値なしに素晴らしいとは思うけれど、全体として見ると、作者の性質や作品でやろうとしていることには、個人的にはあまり興味が持てない、かもしれない。それは、この大きな展覧会を見る前も見た後も、そんなに変わらない。
その後、常設展示室の特集(「みんなのなかにいる私」)でホックニーやアレックス・カッツやボルタンスキー、また荒木珠奈の作品などを見た。それから、川の近くのギャラリービルまで歩いていって、福井篤や小金沢健人やイケムラケイコの個展などを見た。後者はなんというか、作者の個性というよりも、「この時代」みたいなものを感じた。みなセンスが良くて。
(あとそういえば、関係ない話だけれど、大竹伸朗の展示会場に浅田彰がいるのを見つけて、びくっとしてしまった。たぶん本人だと思うけれど…)