おいしいカレーが食べたいなと思って、おいしいかどうかは知らないけれどもカレーミュージアムって行ったことないと思い出してネットで調べてみると、どうやらカレーミュージアム今月いっぱいで閉めるみたいで、せっかくだし行ってみようと思って真昼の電車に乗って横浜へ行った。それで、適当に食べたことのない店のカレーをいくつか食べて、おいしくなくはないのだけれど値段や雰囲気の問題で、べつにこのカレーミュージアムなくなってもいいなと思った。
いま横浜ではランドマークプロジェクトというアートのイベントをやっていて、BankART NYKでやっている丸山純子のビニール袋の花畑の作品や、牛島達治の大がかりな機械の作品などを見た。会場では明日からのムサビかどこかの卒展の搬入作業が行われていて慌ただしかった。それから本屋や古本屋を覗いたりしながらいくらか歩いて、川の近くの、A君の新しいアトリエがあり、いま展示もしている建物へお邪魔したら、ひな祭りに合わせて特別のカフェをしていて、いろいろ知っている人や知らない人がすでにいてくつろいでいた。それで自分も寄せてもらってお茶なんかを飲みながら、いろいろ簡単だったり難しかったりする話をしたり、カルダーのサーカスの遊びの映像を見たり、鍋をごちそうになったり、警察と酔っ払いの衝突を見たり(そこは危ない地区で、夜じゅう警察官が道に立っている)、A君と、カフェをやっているTさんといっしょに合作で絵を描いたりしていて、いつの間にか夜中まで起きていて、結局というかなんというかその建物に泊めさせてもらって(A君と同じ部屋に寝て)、そうして次の日の労働はあっさり休んだ。
朝起きてしばらくカフェの準備など手伝ったあと、そこを出てひたすらひとりで散歩をする。商店街を通り、行ってもどうしようもないけれど急な坂スタジオに行ってみたりして、岡田利規いるかなと考えたりした(いたからってどうってことないのだけれど)。そうしていつの間にか野毛山動物園という動物園を発見して、無料なのに驚きながら入って、いろいろな動物たち、爬虫類たち、魚たちがせまい空間で生活しているのを見ていく。とくに惹かれたのは真っ黒な毛並みのツキノワグマ、そしてなんとかというトラ(ボルヘスが好きなトラ)は存在感があって、何度もオリの中を行ったりきたりするのを飽きずに眺めた。それからクジャクが放し飼いされていて、道をいっしょに歩いたりして、そんなことしたのははじめてというのもあって楽しかった。動物園を出て、高台から小さくなった家々を眺めながら階段をおりていく。どこかへ向かう。また夕食をご馳走になり、赤いお酒を飲んで、この前グループ展をいっしょにしたKさんと美術の話をしながら電車に乗って帰ると、着いたときにはすでに日付がかわっていた。たった一日帰らなかっただけなのに、ずいぶん久しぶりの我が家な気がする。ひとり寂しくて、天井かどこか、上のほうを見つめる。