淵野辺のPRUNUS HALLというところで、岡田利規の作・演出作品、「ゴーストユース」を観た。これは、プロの演出家などが呼ばれて学生に演出し、舞台作品をつくるという(たぶん、大学の授業の)企画らしい。学生相手だからわりと片手間で、余裕をもって仕事をするのかと思いきや、ぜんぜんそうではなく、ほんとうに先端的な、そのときの力を尽くしたような作品で、相当におもしろかった。いや、まさに、いまのあらゆる表現方法の中で、ここまで複雑で、新しいところへ進もうとしているものは、ほかにないんじゃないかと思うくらいだ(べつに、新しければいいというのでもないけど)。とくに今回は、(いままでに自分が観たチェルフィッチュの作品よりも)舞台装置が凝っていて、映像も駆使し、いろいろと豊かなアイデアを投入していて、その仕掛けの部分に驚くところも多かった。やはり、役者がたよりないところは気になったけれど、それは仕方ないのだろう(19人も役者がいたのだけれど、19人の登場人物がいるのではなく、3人しかいない。同じ人物を何人かで演じるのだ。しかし、舞台から消えたりあらわれたりするのではなく、ほとんど全員、舞台上に同時にいて、それぞれみんな、なにやら動いたりしている。机や椅子を動かしてセットをつくったり、またポーズをとったり、ビデオカメラに携帯電話の画面を写したりしている…)。とにかく、やろうとしていることが意欲的だから嬉しくなるし、少々アラが見えたとしても、なんだかべつに許せてしまう(まあ、料金が安いというのもあるので)。そうして、いままでに経験したことのない時間感覚、空間感覚を感じたような気もする。