素晴らしいシャツ

一週間後に着用するため、しまっていたSINA SUIEN(+qp)のシャツを出してきた。

 

 

この最終形のシャツに至るまでの道のりはわりと長く、個人的に整理しておきたいと思った。ツイッターに書こうと思って書きはじめたけど、長くなりすぎるのでツイッターには向かず、ブログに書けば良いと思った。

 

という事で、ブログは辞めたはずなんだけど、とりあえずしれっと撤回して、(前のブログをインポートだけはしておいた)はてなブログに書く事にします。

 

 

まず、2017年の春頃、手書き+印刷物のスキャン+イラレで原画のデータを制作。

それをシルクスクリーン工房のプロの職人さんにお願いして、購入しておいたヴィンテージの大判スカーフに刷ってもらう(大きな薄い布にシルクスクリーンで刷るのは難しいらしく、いくつかの工房で断られた…。ちなみに2種類の版を制作し、刷ってもらうのに費用として十数万かかった)。

 

このスカーフ作品を、20176月にワタリウム美術館で開催されたパープルーム展に出品した。美術館の会場と、半地下にあるカフェではまとめて展示された。

 

 

 

  

パープルーム展が終わる時に、ワタリウムの方から、カフェでの展示を1ヶ月延長しませんか?とお話があったので、スカーフ作品のみ1ヶ月間延長して展示された。

 

そして、ワタリウム美術館での展示がすべて終了し、スカーフ作品が手元に戻ってきたとき、これらの作品をどうしようかと思案した。なんとなく、自分が持っているだけではもったいないというか、ほかに生かす道があるのではないかと考えた。

 

そして閃いたのが、SINA SUIENという洋服のブランドをしている友達の有本ゆみこさんにお願いし、シャツに仕立ててもらおうという事だった。なぜシャツなのかというと、その時自分は服の中でも特にシャツに愛着を感じていて、シャツにしてもらうのが一番嬉しかったからだ。

 

有本さんにお願いすると、快諾してもらえた。有本さんは女性の洋服しか作らないけれど、今回は特別という事で作ってもらえることになった。

スカーフ作品と、シャツの型になる原型のシャツを選んで渡した。

 

しかし有本さんは多忙で、なかなかシャツが出来たという連絡はなかった。シャツの制作をお願いしたのを、忘れかけてしまったくらいだった。

かなり時間が経ち、あるとき、有本さんをふくめて4人の仲の良い友達と会った時に、ふいに完成したシャツを渡された。

 

お願いしてから、1年以上が経っていた。

シャツは素晴らしかった。

 

(シャツを渡された、下北沢の中華料理屋さん珉亭にて。2018年9月20日

 

 

ということで、シャツに至る道のりはここまでです。

以下、あらためてこの素晴らしいシャツのディテールを見ていきます。

 

まず、細かく糸の色を(薄緑→緑→青へと)変化させていった刺繍部分が目を引きます。元々の絵柄を避けていって刺繍されています。

 

(分かりにくいですが、絵柄は男女のキス)

 

それからこのシャツには、スカーフ作品は2点使われていて、前身頃の赤い部分、袖先とヨーク部分(肩部分)は黒い作品が使われています。

袖と、肩部分以外の後身頃、また襟部分は有本さん所有の(どこかアジアっぽい、民族っぽい雰囲気のある)生地が使われています。

※追記 この生地はインドネシアのバティックというロウケツ染めの生地だそうです。

 

ということでこのシャツは、3種類の生地が切り替えられ、仕立てられている事になります。

スカーフ作品だけでなく、既成の生地が使われている事で、より調和されたまとまりが出来ているように思えます(既成の生地は、赤と黒のどちらの色も入っています)。

 

 

長くなりすぎている気がするので、最後に、ボタン部分だけ書いて終わりにします。ボタン部分も、スカーフ作品を使った手作りのくるみボタンが使われています。こういうところも細やかで驚きました。

 

 

という事で、素晴らしいシャツについて書きました。

 

 

ブログは、とりあえずまた始めたんですけど、この先どうするかは未定です。

たまたま何かブログでしか書けないことがあったら書くかもしれません。あるいは、まったく更新されないかもしれません。