外は暗くて寒そうなので、ひとつ所にじっとしている。布きれを体や頭にかぶって動かない。どうしてこんなにも精神が弱っているのか。ただぼんやりと目をつぶっている。となりの人は独り言をしゃべっていて、あきらかにそれは聞こえている。壁が驚くほど薄く、これではほとんど壁とは言えない。なにかきっと、壁以外のものだと思う。
ひとり、氷のように冷たく固まっている。耳の存在がときどきわずらわしくなる。明るいものが欲しい。自分と自分の道とその他いろいろな大事なものを、はっきりと照らしてほしい。少しずつぼんやりとあったかくなればいい。精神が成長して、からだが丈夫になって、人があまり迷わないようになればいい。
自分だけはひとり土の中の研究にいそしむ。めずらしいものを探す。