昨日の夜、吉祥寺のバウスシアターで、「中原昌也 爆音パーティ お祝いオールナイト」というイベントを見た。このイベントは、中原昌也がドゥマゴ文学賞を受賞したことを祝うという名目でおこなわれるものなのだけれど、とにかくなにが上映されるのか、どんなものになるのか、行ってみないと分からないというイベント。自分はその、なにが見れるのか分からないという、未知のところに惹かれて(あと中原昌也の小説のファンなので、本人が見れると期待して)、夜遅く(23時からはじまる)にいそいそと吉祥寺へ出かけていった。
はじめに上映されたのは、映像はなくて音楽だけの作品で(しかしクレジットはスクリーンに表示される)、しかしその音が普通の映画館では考えられないくらいの大音量で、凄まじかった。へんな言い方だけれど、音に殺されるかと思った(バウスシアターの爆音システムの映画は、一回体験したことがあるのだけれど、そのときとは比べられないくらいの大音量だった)。その次に上映されたのは、よく分からないけれど、前衛音楽をしている人たちを撮ったような、ストーリーはあってないような映画。ただやはり、音だけがやたら激しく、あまり集中して視聴していると頭がおかしくなりそうだったので、意識は半分どこかにやっていた(しかしそれでも拷問に近いものがあった)。休憩をはさんで、また頭のおかしい作品(むかしの実験映画みたいなもの。でも、おもしろい作品もいくつかあった)を何本か見せられて、その後休憩し、それからまた頭のおかしい(狂ったような)映画を見せられた。しかし音は、はじめのふたつよりだいぶましというか、小さかったので、その部分は良かった。また休憩が入り、その後、中原昌也とジム・オルークのライブがおこなわれた。これは、いいのか悪いのかは、分からない(こういう音楽はほとんど聴かないので…ちなみに、いわゆるノイズ音楽)。どちらかというと、生の動いている中原昌也を見れたことに嬉しさがあった(あと、中原昌也の絶叫が聞けたのが嬉しかった)。ライブが終わり、次が最後の上映だとアナウンスがあった。休憩の後、なにがはじまるかと見守っていたら、「ランボー 最後の戦場」がはじまった。しかし、自分は「ランボー」のいわゆる第一作を見ていないので、タイトルに「John Rambo」と出た時点で、これが一作目だと間違えて認識し、そのまま最後まで見てしまった(間違えだと気づいたのは、いま、この日記を書くときにネットで調べものをしていて、ようやく気づいたことだ。普通に見れば、それが一作目じゃないことなんて、すぐに分かりそうなはずなのに…)。それで、自分が一作目だと勘違いした、本当は4作目(今年公開)の「ランボー」は、かなり戦争の描写が厳しくて、残虐なことになっていた。自分の体力的なこと(朝の3時4時なので眠たい。さらに、もともと体調は良くなかった)や、自分の椅子のポジションのこと(前の人の頭が邪魔だった)などがあって、あまり集中できたとは言えないけれど、(この映画の監督であり主演でもある)シルベスター・スタローンの気合いみたいなものは画面からそうとうに伝わってきた。とにかく、戦争の描写を濃密にしようという意志がみなぎっていて、そこには圧倒された…。

映画(そのイベントも)が終わったのは5時ごろだった。映画館を出ると、中原昌也がサイン会をするべく待っていて、あっと思い、本など買ってサインをしてもらおうかと一瞬考え、財布に入っているお金さえ確認したのだけれど、結局は、はやく帰りたいというのが強くて(お金はなんとかあったのだけれど、もう本当に疲れていた…)、本を買うのはやめ、自転車を止めたところまで早足で歩き、自転車に乗って、まっくらで冷たい空気の中、家へといそいだのだった。