昼休み、いつもの公園へ行く。だいたい、だれかいることが多いのだけれど、今日は小さい女の子とその母親らしき人がいた。女の子は、はじめ砂場で遊んでいた。次にブランコのところへ行き、それから水飲み場のところへ行った。また、すべり台のところへ行ったりもした。女の子が歩くあとから、母親がそれについていくのだけれど、母親はずっと携帯電話を持っていて、なにやら熱心にボタンを押していた。メールを書いているのかネットをしているのか、それ以外のなにかをしているのか知らないが、とにかく子どもではなく携帯の画面ばかり見ている。それが少し気になった(いい気分はしなかった)。
母親は子どもに、帰ろうか、帰ろうか、と言い、子供を乳母車に乗せて、どこかへ行ってしまった。ほとんど入れ代わりに、リヤカーを引いた若い男が公園に入ってきた。リヤカーには旗が立っていて、「ゆば 豆腐」と書かれている。ときどき見かけることのある、豆腐売りが、お昼を食べに公園に来たのだろう(最近、こういう昔ながらの売り方がはやっているのだろうか。このへん以外にも、東京のあちこちで見る)。男は牛丼かなにかを食べたあと、煙草を吸いながら、携帯電話をさわっていた。それから、だれかと電話で話しはじめた。電話の相手は女性のようだ(声が聞こえた)。男はときどき、楽しそうに笑っていた。自分は、そろそろ行こうかと考える。自転車に乗る。
今日は天気がよかった。猫はいなかった。どこか近くの家から、小さく、洗濯機のまわる音がしていた。