もぐらが持ちあげし土のその陽の色
つくづく淋しい我が影よ動かして見る
船乗りと山の温泉に来て雨をきいてる
昼の蚊たたいて古新聞よんで
うそをついたやうな昼の月がある
何かつかまえた顔で児が薮から出て来た
馬の大きな足が折りたたまれた
傘にばりばり雨音さして逢ひに来た
わが顔ぶらさげてあやまりにゆく
蟻が出ぬようになつた蟻の穴
笑へば泣くように見える顔よりほかなかつた
なんにもない机の引き出しをあけて見る
田舎の小さな新聞をすぐに読んでしまつた
豆を煮つめる自分の一日だつた
すばらしい乳房だ蚊が居る
とんぼが淋しい机にとまりに来てくれた
髪の美くしさもてあまして居る
その手がいつ迄太鼓たたいて居るのか
来る船来る船に一つの島
漬物石がころがつて居た家を借りることにする
久しぶりに片目が蜜柑うりに来た
落ち葉ふんで来る音が犬であつた
芋喰つて生きる居るわれハ芋の化物
すぐ死ぬくせにうるさい蠅だ
どうしても動かぬ牛が小便をした
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