「東京物語」で有名な映画監督の小津安二郎は、1903年の12月の12日に生まれ、そのきっかり60年後(12×5年)の12月12日に亡くなったという希有で偉大な芸術家です(小津安二郎はしばしば日本的な映画監督などと言われますが、じつは小津安二郎みたいな映画を撮っている人は、日本はおろか世界にひとりもいない。そういう独自の作風を作った、われわれに新しいビジョンを見せてくれた、という意味で、小津安二郎は偉大な芸術家なのです)。だから2003年の今年は、小津安二郎生誕100周年の記念の年ということになります。
さて、それとともに、今年はもうひとつの100周年の記念の年でもあります。ライト兄弟が、有人飛行に成功にさせてからの年月がそれです。考えてみれば、まだ100年しか経っていない、とも言えるのではないでしょうか。たった100年ですが、どれほど人類の科学技術は発達したでしょうか。ライト兄弟からガガーリンの有人飛行までたった60年です。驚くほどの進歩のはやさです。
人類の科学技術の発達は、魔法の実現と言いかえることが出来ると思います。魔法の実現とはどういうことか。昔なら、東京から大阪まで移動するのにどれだけかかったでしょうか。何日も、何か月もかかったことでしょう。それがいまや2時間もあれば移動できる。いまなら当然だと思うかもしれませんが、100年前ならそれこそ魔法です。超能力で言うとテレポーテーション、SF風に言うとワープでしょうか。あるいは携帯電話。離れている場所の個人が会話できる。これはテレパシーだと言えるのではないでしょうか。テレビだってパソコン、インターネットだって、みんな魔法の道具です。昔ならありえなかったことを、人類は次々に実現していっています。おそらく20世紀が戦争の世紀だったということも、その原因になっていることでしょう。
もう始まっているこの世紀は、どんな人が現れ、どんな時代になり、どんな魔法を実現することになるのでしょうか。
今日は新聞のコラム風に書いてみました。こういう真面目な文章を書いた後は、恥ずかしさでネットから遠ざかります。ネット中毒治療のための文章。