どうもあんまり気分が良くないし、天気も良くない。曇っている。さっき髪を洗って濡れた髪のまま乾かしついでに散歩していま木の下の緑色のベンチに座って前の、バドミントンをする恋人たちやウォーキングをする人たちや走っている人たちを見ながら缶入り紅茶を口に含んだりただ座ったりしている。そこは芝生のだだっ広い広場。近くで芝刈り機の音がしている。雨が降りそうだが降っていない。この時期特有の栗だか柿だかの匂いがしている。救急車のサイレンと前の車に注意をうながすアナウンス。木々が風に揺れている。昨日は休みだったのにとくになにもしなかった。そして今日は遅くまで寝ていた。今日からアルバイトの時間が一時間ずれる。自分は嫌だったが事情があり、そう頼まれたので仕方なくずらした。また色々と以前とは違ってきてしまっている。そういう様々がいまの自分の気分の悪さを作っていると思う。
芝刈り機の音はまだやまない。バドミントンをしていたカップルはお茶を飲んで休憩し、上着を着て、いまから帰るつもりだろうか。男はタオルで頭の汗をぬぐっている。男は坊主。女は髪の毛をくしゃくしゃとかきあげている。ユニホームを着た二人組がサッカーの練習をはじめた。空は白くどことなく不吉な予感がする。いまからなにをしよう、と考える。なにも思いつかない。となりのベンチに中年の二人組が座り熱心に話を始めた。ホームレスについて話しているようだ。場所によってホームレスの質も違うという話。陽気な雰囲気で話している。芝刈り機の音がやみ、かわりにカラスの鳴き声が明瞭になった。
髪も大分乾いてきたようだ。空が少しだけ晴れてきたようにも見える。うっすらした水色があり、空気も明るくなった気がする。隣の中年二人組は特攻隊の話をしている。特攻隊?二人組の知り合いがかつて特攻隊に所属していたらしい。中年のひとりは上半身裸で、バットを持っている。たまにバットで、どんどんと地面の土を叩く。
退屈してきたので立ち上がる。歩く。風が強い。すぐに部屋に着くだろう。わけの分からない不安と寂しさを感じている。