日暮里。谷中霊園を通って(冬の墓地の寂しさ…お墓はひとつの彫刻で建築だと、いまさらながらに気付いた。徳川家の墓地らしいところもあり、そこがまた独特の気配)、SCAI THE BATHHOUSE(もと銭湯のギャラリー)で行われているアニッシュ・カプーア展を見る。恐ろしくなめらかな表面。言語化不可能な感触。
芸大。茂木健一郎さんの美術解剖学に保坂和志さんが呼ばれて特別講義。いろいろおもしろかった。ひとつ印象的だったのは、話をしているときに携帯電話のバイブ機能が作動し、だれの携帯かと思ったら保坂さん本人のもので、それはだれかから電話がかかってきたわけではなく、猫に餌をやる時間を知るために設定していたアラーム機能が作動したのだった。猫に心を捧げているのを読者として知っていたので、微笑ましい出来事だった。
講義が終わって帰ろうとしたら、通りかかったところで、写真家の石内都学芸員笠原美智子という、知った名前のふたりが講義をするというので、せっかくなので聞いてみようと思って聞いた。知った名前といっても、やろうとしていることに注目しているわけでもないし、作品に感動した経験があるわけでもないので、講義の内容も特別得難いといったわけでもなかったのだけれど…。
というような今日、ショックなことがひとつ。大学への道筋のどこかで、自分の知らないうちにマフラーを落としてしまったのだ。ギャラリーまで戻ったりしてしばらく探したのだけれど見つからない。けっこう気に入っていたのでがっかりした。あのマフラーは、いまどこにあるのだろう。