夕方のニュース番組を見ていたら、図書館の特集をしていて、その中で電車図書館というのが出てきた。古い電車の車両を利用した図書館で、車両の中に本棚がずらりと並べられ、あの柔らかい長椅子に座って本を読む。図書館と電車という、よく知った(自分にとっては、郷愁を誘う)ふたつの(公共)空間がひとつになっていて、おもしろいと思った。動く図書館というイメージ(実際には動かないけれど)には、なんとも言えない不思議な魅力がある。
それから、もうひとつ紹介されていた図書館は、横浜にある、じつは自分も行ったことのある図書館なのだけれど、その図書館は、本棚にある本すべてに茶色の袋をかぶせていて、中にどんな本が入っているのか分からなくなっている。普通、図書館や本屋で本を探すときは、自分の興味や趣味に合わせて本を選ぶものだけれど、その図書館は、そういう自分の意思が介入できなくなっている。ただ偶然のみで、本を選ぶことになる。しかしそのことによって、普段は手に取ることのない本と出会う機会を得るわけだ。この図書館は個人でやっていてお金もとるので、正確には図書館とは呼ばないのだろうけど、本に対する(また、人間の選択するという行為に対する)新しいアプローチを試みていて、おもしろい。個人的には、お金をとるので利用しようとは思わないけど(ドリンク付き1時間500円)。