吉祥寺シアターという、わりと最近にできた新しい劇場で、なにかイベントのようなものがあるというので見にいく。そこで、少しダンスも見れたのだけれど、男性と女性がふたり舞台の上でダンスをしているのを見ておもしろいと思ったのは、ふたりがずっと離れた場所でまじわることなく踊っていたのに、あるとき突然ひとりがもうひとりに近寄り、なにか関係があらわれそうな瞬間になったときで、そのときスリリングなものを感じた。いま、ダンスの話を超えて、関係性や構造について言うけれど、ふたりの人間(またはモノ)の関係が、なにも関係がなさそうなときではなく、関係のしっかり固まったときでもなく、関係が生まれそうな予感が感じられた一瞬、その短い時間が、もっとも引き付けられるときだと思う。なにかが生まれそうな、生まれる予感のする、まだ生まれていないとき。あるいは別の視点から見ると、すでに関係が固まったときから徐々に状況が移っていき、なにか関係が壊れそうな、ほどけそうな、違うものになりそうな、そういう瞬間もまた同じようにスリリングな、どうしても目が離せない瞬間になるだろう。