電車に乗る前には外はまだぼんやりと明るかったのに、電車に乗って目を閉じたり本を読んだりしてからふと窓の外に目をやると、外はすでにまっくらで、そんなに長くない時間で明るさがきゅうに変わったことに驚いた。
駅へ着いて暗い空気のなか、いつものように家までの道のりを歩いていると、いつもの道の様子と違っていて、大きな車が何台か止まっていたり何人かの人や警察官が集まっていたりしていて、なんだろうと思いながらもそのまま歩いていると、小さい椅子に小さい女の人が座っている前を通って、こんな暗くに女の人が外に椅子を出して座っているなんて不自然だと思いながらも、それほど気にすることなく歩いていると、近所の人らしき母親が暗い格好をした男の人に、「あの椅子に座った女の人はだれですか」とたずねて男が「ミムラさんです」と答えたのを聞き、やっとドラマかなにかの撮影だと分かった。またしばらく歩いていると、今度は移動撮影用のレールが敷いてあったので、ドラマというよりも映画か、あるいはCMの撮影かもしれない。たしかにそのあたりの風景は良いから。