今日電車に乗っていると近くに親子がいて、子どもが父親に「お父さん、どうやって電車を線路の上に乗せたの?」と質問しているのを聞いた。自分は、この子どもはおもしろいことを聞くなと思って耳をすませたけれど、それにたいして父親は困ったように考えてから、「クレーンで吊したんじゃないか」と普通に答えていて、がっかりした。親子の会話はそこで終わってしまった。
子どもの質問ということで、思い出した話がある。茂木健一郎さんと布施英人さんの対談なのだけれど、布施さんとその子どもが公園に行ったときに、子どもが布施さんに、芝生の向こうの、遠くにいて小さく見える人たちを指差して、「ねえお父さん、どうしてあそこにいる人たちは小さいの?」と聞いたというのだ。遠くにいるから小さいのは当たり前だけれど、それを不思議だと思う発想。「小さく見える」と「小さい」が分けられていないのだ。
子どもはのびのびと突飛な絵を描くけれど、大人になるとだんだんと常識的なおもしろくない絵を描き出す(往々にして)。それは大人になることによって、上で書いたような質問をしなくなることと、通じているのかもしれない。