新宿ニコンサロンの、元木みゆきさんの個展「息の結び目」を見に行く。トークショーも聞く。
北海道の酪農の現場で生活しながら、デジタルカメラで撮影していった写真たち。祖父の死や牛の出産、家族の生活、それらにぎりぎりまで寄り添っていく息づかい。きれいなものもそうでないものも同一に並べられ、視点や構成をさまざまに変化させながら、この酪農生活の時間の全体を捉えようとし、家族の生きる時間を捉えようとする。
ただ思ったのは、これは元木さんの写真がどうということではなく、ギャラリーで写真を見せるということについてなのだけれど、モニターを使って(ウェブサイトなどで)写真を見るほうが、実際にギャラリーという空間で見るよりも、迫ってくるのではないか。写真に撮られた世界を、より近くに感じることができる。もっと言えば、たぶん写真集を見るのがそういう意味で一番いいような気がする。本というかたちは圧倒的にすぐれている。その体験は手とともにあるから。


元木さんのウェブサイト
http://www.motokimiyuki.com/