埼玉県立近代美術館の「澁澤龍彦−幻想美術館」展を見にいく。
澁澤龍彦の好きだった画家の作品や、仕事に関わった作品や資料、また交遊関係にあった人たちの作品などが、作家の子ども時代から青年期を経て、文学の仕事をはじめ亡くなるまで、その人生の時間に沿って展示してあった。思ったより作品の数が多く、またバラエティーにとんでいて見ごたえがあった。いままで本物に触れる機会のなかったアルチンボルドやルドン、ポール・デルヴォーを見ることができた。また、ゾンネンシュターンの色鉛筆の絵(2枚)や、バルテュスリトグラフ、ベルナール・フォーコンの写真も見ることができた。ふいに、サドの獄中からの手紙や、伊藤若冲のユーモラスな絵があらわれて驚いた。ただ、いちばん気になって欲しいと思ったのは、ゴヤエッチング作品だった(あと、ギュスターヴ・モローの細密極まりないエッチング作品も気になった)。
常設展では、タマヨの版画をまとめて見ることができた(良かった)。それから、ジェームス・タレルの「テレフォン・ブース(コール・ウェイティング)」を体験できた。これは、電話ボックスのような装置に入り、視覚全部をうつり変わる色や点滅にさらす作品。過激な体験で、少し乗り物に酔ったように気持ち悪くなった。帰りの電車の中でこれを書いているのだけれど、いまもまだ気持ち悪さが消えずに残っている。