東京都現代美術館の、マルレーネ・デュマス「ブロークン・ホワイト」展を見に行く。単純に、絵画を見るよろこびというか、色を見るよろこびを感じた。良いところで筆を止めていて、当たり前だけれど上手い。欲しいと思うものもいくつかあった。
その後、同時開催しているタイの現代美術展を見てから、川の近くのギャラリービルまで歩いていく。いろいろ絵などを見て、最後に、シュウゴアーツでしている中平卓馬の写真展「なぜ、他ならぬ横浜図鑑か!!」を見にギャラリーに入ると、中平さん本人が、何人かの若者といっしょに椅子に座っていた。みんななにも話さず、中平さんだけ真剣すぎる眼差しで、自分の写真を見ていた。しばらくして、中平さんがギャラリーを出て外へ行くようだったので、自分もいっしょに出た。
ギャラリービルの近くにはテニスコートがあるのだけれど、その前を歩いていると、ちょうど柵を越えて蛍光色のテニスボールがころがってきた。中平さんがそれを拾って、柵の向こうまで放り投げた。もうかなり高齢というのもあるのだろうけれど、よろよろと頼りない、弱々しい投げ方だった。それでもなんとか、テニスボールは柵を越えて、向こう側にいるだれかのもとに届いた。