自分は、表現されたものにおいて、まったくの無造作であることと、完全に整列していることの、中間くらいのものが好きなのかなと思う。あまりにめちゃくちゃだと(無重力だと)入りこめないし、整頓されすぎていると、退屈に感じる。ただ、一見整頓されているように見えるけど、じつはそうではないものというのも考えられるし、逆もあるだろう。…もちろん、いろんな条件が重なって、自分の好きだと思うものが決定されるだろうから、簡単にそれだけとは言えないけど。
いま、小島信夫の「残光」を読んでいて、(上に書いたような意味でも、違う意味でも)おもしろいと思う。読んでいて、これははたして小説なのか、と疑問を持ったりもする。でも、だからこそおもしろいのだろう。それは、小説というものを、ひろげようとすることだから。