昨日の夜、青山真治の「サッド ヴァケイション」を観た(DVDで)。この映画は、本気なのか本気じゃないのか、よく分からないところがある。北九州三部作みたいになっている「Helpless」とか「EUREKA」は、あきらかに本気の本気で、正面から向き合っている気がしたけれど、それにくらべると「サッド ヴァケイション」は、まじめなようでいて、違うようでもあり、少しいい加減な感じもあって、雰囲気の違うシーンをコラージュしたような感じもある(実際、上の二作からの登場人物が出てくる)。それが、独特のおかしさになって、おもしろいようにも思えるし、同時に微妙な感じにも思える。とはいえ、やっぱり一応、本気なんだろう、とは思うけれど…。それから、この映画には、浅野忠信オダギリジョーが共演していて、おっと思った。このふたりが共演しているのを見たのはたぶんはじめてで、不思議な感じがした。この映画にかぎったことではないけれど、浅野忠信の演技はほんとにすごいと思う(いまさらかもしれないけど)。生々しいというか…人を殺すシーンとか、ほんとうに恐ろしい。なんとなく、めんどくさいような感じで人を殴るのとか、感動する。
また、別の日に、ジャ・ジャンクーの「長河哀歌」も観たのだけれど、これは掛値なしに素晴らしかった。この映画にうつっている風景や人間の、なんときびしいこと。また鳴っている音の、なんと豊かなこと。うどんみたいなものを、上半身裸の男4人くらいですするシーンがあるのだけれど、ここはとくに鮮烈な印象があった。ひとりずつ男が画面に入ってきて、うどんを食べる(画面外には主人公がいて、その男の声は聞こえている)、というだけなのだけれど、これは狂っている!と思ってしまった。あるいは、ふつうの映画の感覚とぜんぜん違う!と思った。文章では、説明しにくいけれど…とにかくそう思った。あと、映画の中で、建物を壊しているシーンが多く出てくるのだけれど(ダム建築のため、街を埋めたてるので)、なんとも殺伐としていて、強い印象があった…。
ほかに最近観たのは、デイヴィッド・リンチの「インランド・エンパイア」とか、マイケル・ムーアの「シッコ」とか…冨永昌敬の「コンナオトナノオンナノコ」とか。「シッコ」を観たら、ぜんぜんアメリカに行きたくなくなった(まあ、もともと行きたいと思ったことは、あんまりないけど)。