上野の森美術館の「VOCA展」と、東京都美術館の「アーツ&クラフツ展」を見た。
「アーツ&クラフツ展」で展示されていたものは、いろいろおもしろかった。ひとつだけ書くと、ステンドグラスの作品も展示されていたのだけれど、ステンドグラスは、ポジフィルムを光にかざして見るのと同じ原理だと思った。自分はいま、いくらでもポジフィルムを見れる環境にある(限られた、特殊なものを撮ったフィルムだけど)。それで思うのは、紙に印刷された写真よりも、ポジフィルムを光にかざして、専用のルーペなどで見るときの感動のほうが大きい気がするということ(感動という言葉は、少し違うかもしれないど…)。ルーペを使えば、そのフィルムとの関係はより個人的で濃密になる。視界全部にその写真をおさめることができ、そのことによって写真を支配(?)することができる。
ジェフ・ウォールの写真は、展示するときにはステンドグラス式(ポジフィルム式)に、透明なフィルムに印画(?)したものに、後ろから光を当てる(というよりも、分かりやすく書くと、作品自体が巨大なライトボックスみたいになっている?)と読んだことがある。写真を見せる方法としては画期的な発明だと思うけれど、それとはまたべつに、もっと個人でも楽しめるように、ふつうのポジフィルムみたいなかたちにして、作品を売ってくれないかな、と思う(写真集を買うように、ポジフィルムを買い、その人が持っているルーペを使って鑑賞する)。巨大なライトボックスなんてほとんどの人は持てないけれど、小さいポジフィルムなら値段も高くないだろうし(分からないけど)、にも関わらず、うまくやればかなりの視覚的な効果が期待できると思う。まあ、それが実現できるかどうかは置いておくとして、とにかく、写真のあり方として、そちらの方向への可能性が、あまり追求されていない気はする。