彼らのようにはいかない。自分だけがいつもみじめなまま。木登りしたとき落ちたのは自分だけ。自分にだけ蠅やミノムシが寄ってきたっけ。虫に話しかけるのは勇気がいるものだ。自分が人間ではなく虫であると、心の底から信じ込まなくてはならない。けれど言葉が通じたときは嬉しかったものだ。飛び上がって喜んだ。世界が薔薇色に輝いた。