小学生のとき、家庭科の授業で、エプロンだか手提げ袋だかを裁縫しているとき、波縫いだったのだけれど、途中から面倒になってきて、波の幅を大きくとるようになってきたんです。そうしたら、先生(50代くらいの女の先生)がやってきて、その幅の大きい波縫いを見て、なぜこんなに波が大きいのかと、ぼくに尋ねました。ぼくは正直に、面倒くさいから、と答えました。そしたら、先生はかんかんに怒って(いまふうに言えば「キレて」)、おまえなんかうちのクラスにいらん、出ていけ、となりのクラスに入れてもらえ!と激しくまくしたてました。ぼくは仕方なしに、廊下へ出ました。ドアから(窓から?)ちらりととなりのクラスを見ると、となりではとなりの、別の授業が行なわれていました。自分のクラスに戻るわけにもいかない。となりのクラスに入るわけにもいかない。ぼくは廊下でうじうじしていました。他にどうすることもできず。この孤独な、宙吊りの状態。ひんやりとした冷たい廊下の上で。