渋谷のシネマ・アンジェリカで、2本の短いアニメーションを観た。
「岸辺のふたり」はほんとうにシンプルで美しく、最後のあたりで自然と涙がこぼれてしまって、いまも思い出すと泣きそうになる。物語も絵も最小限で、セリフもなく、けれどもそれによってつながることのできる場所。
「春のめざめ」は、まず動くルノワール絵画というような技法に目を見張り、しかも少年の恋の目覚めを取り上げたものとあってみずみずしく新鮮だった。シーンとシーンのうつり方に独特のものがあり、少年の心理や想像もそれにつながっていて、時間の流れ方に不思議な感触があった。
ふたつの作品ともアニメーションの極限にあるように思うし、スクリーンで観れて良かったと思う。けれども残念だったのは、上映のとき、「岸辺のふたり」が終わってすぐに「春のめざめ」がはじまってしまうことで、もう少し「岸辺のふたり」を観たあとの余韻がほしかった。