昨日の夜、少し不思議なことがあった。
そのとき自分は、掃除をしながらパソコンで音楽を聞いていた。それは、かなりマイナーな部類の音楽に入るであろう、エチオピアのジャズで、ジム・ジャームッシュの「ブロークン・フラワーズ」に使われたものだった。古代エジプトの音楽のようでもあり、日本の昭和歌謡のようでもあり、へんなあやしさがあって、自分は映画を観て気にいり、CDを買い求めたのだった。さて、けれども自分はそのとき、エチオピアのジャズはもういいから、なにか違う音楽を聞きたいと思ってiTuneを操作し、ネットラジオに合わせた。それは、自分の一番よく聞く局で、いちおうエレクトロニカの分類に入っているけれど、わりとなんでもありの選曲をするところだった。ところが、どういうわけか、さっき聞いていた音楽と、ほとんど同じような曲が流れてきた。あれ?と思った。操作を間違えて、ラジオにかえていないのかなと思った。でも、たしかにかわっていた。ようするに、たまたまそのときそのラジオ局でも、エチオピアのジャズをかけていた、ということなのだ…。
こんなことが起こる確率は、いったいどれくらいなのだろう。そもそもエチオピアのジャズが、ネットラジオから流れているのなんて聞いたことがないし、ほかの機会でも(「ブロークン・フラワーズ」以外では)聞いたことがない。自分は、驚きとともに、なにか釈然としないものを感じた。
ところで、この前テレビで、双子のことを調べる番組があった。六組の双子に集まってもらって、その6人と6人を違う部屋にわけて、それぞれでコンパみたいなことをしてもらう、という企画だった。すると、不思議なことが起こった。別々の部屋にいるにも関わらず、違う部屋にいるもうひとりの双子の行動と、まったく同じように行動する瞬間というのが、かなり頻繁に見られたのだ。双子は、同じタイミングで、まったく同じように皿を動かしたり、まったく同じように笑ったりしていた。そんなことは双子でなければ(たぶん)ふつうありえないし、自分はそれを見たときに、どうにも言葉にならないへんな感じがした。
そのテレビ番組を見たときに感じたものは、昨日の夜感じたものに、近いような気がする。現実を生きるためにささえる土台が、かすかにぐらっと揺れたというか…うまく言えないけれど、ふつうの現実で通っているルールと、違うものを見た気がしたのだ。