十文字「今、後藤さんの言っていることって、映像におけるすごい秘密なんですよ。写真の映像は、自分がイメージしてるものが完璧になってしまうと、何かを失うんですよ。それは何かというと、「生々しさ」なんです。例えば10年たとうが20年たとうが、見た時に写そうと思ったもの、写っているものが生き続けていないとだめなんです。」
後藤「それが「生々しさ」、写真の秘密。」
十文字「そうですね。ところが私の体験で言えば、その「生々しさ」っていうのは完璧にすると生々しくならない。だからいったん完璧にしたら、そこから自分の心の中で崩すんです。手前でやめるか、あるいはわざと「異質」なものを放りこんで、もう一回自分を混乱させるのか。それはその都度違うんですが。」