昨日触れた本の解説で、小川国夫が島尾敏雄との会話を取り上げている。おもしろかったのでメモ。
「私は言った。夢というものには、自由と不自由が極端な形をとって現れますね、たとえば、たった三メートルの距離をどうしても歩ききることができないことがある。そうかと思うと、三千キロの距離を、天馬空を行くように、たった三分で行ってしまうことがある。夢には、呪縛と解放がありますね。私がそう言うと、島尾敏雄は応えた。夢には解放だけがあるのではないでしょうか。たとえば、あなたの言われた、三メートルの距離をどうしても歩ききることができない状態、これは不自由のように思えますが、現実にはそんなことはあり得ないわけで、普段できないことができるのですから、これも自由でしょう。」